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佐野日本大学中等教育学校

コミュニティ

【校長室だより】

 今日(8日)梅雨に入ったようです。梅雨と言えば紫陽花(あじさい)。雨に映える繊細な色合いの美しさは、この時期にとても似合っていると感じます。紫陽花の花言葉には、移り気、寛容、七変化、無常などがあるそうです。花の色やそのたたずまいからこのような花言葉になったようですが、実に趣深いですね。また、学校近辺の水田地帯ではカエルが賑やかに鳴いています。これも梅雨から夏にかけての風物詩です。

 ところでその紫陽花の花言葉の中の「無常」ですが、一言で言えば「物事は常に変化し、一定不変であるものはない」という概念です。生徒の皆さんは古文で学習すると思います。日本には四季があり、春夏秋冬様々に移り変わる風物があり、常に自然界が変化する国です。また地理的には森林が多く、昔から樹木を用いた建物や製品が多く、素材の性質上長い期間には腐食などで形がなくなってしまいます。石の文化を持つ西洋とは、文化やメンタリティーが大きく異なる点ですね。

 これらの自然の性質に加え、武士の時代には様々な勢力が興っては消えていきました。平家物語にも「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす。おごれる人もひさしからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もつひには滅びぬ。ひとへに風の前の塵に同じ。」とあります。永久不変であるものはなく、物事は常に移り変わるのであれば、物事は良くもなるし悪くもなる。

 無常であることは、物理的に真実であります。永久に変わることのないものは、地球上には一切ありません。そこから何を考えるか…。「今がこうだから未来もこうだ」と、思ってはならないのではないか。「今はこうだけど、10年後こうなりたい。だから今できる努力をする。」そんな生き方ができるといいですね。                          (次回6月21日更新予定)