【教育旅行】「3.11を語り継ぐ旅」2022ツアーレポート(2日目 その2)
10月9日、早朝に女川町を巡った「3.11を語り継ぐ旅」メンバー一行は、石巻の「南浜津波復興祈念公園」に移動し、佐藤美香さんによる語り部プログラムを体験しました。
「佐藤美香さんと辿る 愛梨ちゃんの『あの日』の足跡」です。
美香さんは3.11で娘の愛梨ちゃん(当時6歳)を亡くしました。あの日、幼稚園のバスごと津波に
のみ込まれ、その後発生した火災によって、わずか6年の短い人生を閉じた愛梨ちゃん。
バスの中で、怖がって泣くお友だちを、健気に励ましていたというお話もうかがいました。
私たち「3.11を語り継ぐ旅」では、美香さんが発信する「いのちのメッセージ」に耳を傾けるべく、
昨年度より美香さんにオンライン語り部を依頼し、知人の菅原淳一さんが主宰する「アイリンブルー
プロジェクト」に参加しています。今年、やっと現地を訪れることができました。
まず、伝承交流施設「MEET門脇」に展示されている愛梨ちゃんの遺品を、メンバー自身の目で見ました。6歳の、あどけなく、まだまだこの先未来があったはずの愛梨ちゃんが遺したものは、美香さんが見つけた、焼け焦げた靴とクレヨンでした。遺品を前に、震災で尊くかけがえのない命が喪われることを防ぎたい、1つでもいのちを救いたいという思いを込めて、美香さんは語ってくれました。
普段目にしている写真ではなく、遺品の実物を目の当たりにしたメンバーは、愛梨ちゃんについて、いのちについて、何を思ったのでしょうか。
MEET門脇を出たあと、すぐ近くの門脇小学校に行きました。校舎には、津波による被災の跡が
いまも生々しく残されていました。
美香さんはここで、「あの日」の石巻について語りました。
津波から避難する車で大渋滞が発生したこと、その中に愛梨ちゃんを乗せたバスが巻き込まれ、身動きできなくなってしまったこと…。「あの日」この近くで愛梨ちゃんの身に起きた出来事が、美香さんの言葉で語られていきます。
参加メンバー34人はじっと美香さんの言葉に耳を傾けています。その集中のエネルギーは、
背後からでも強くはっきり感じられるほどでした。
門脇小学校を出て、日和山に登りました。頂上まで登ったわけではなかったのですが、
それでも復興祈念公園が海まで一望できる、高い場所でした。
そこから、住宅街を抜け、愛梨ちゃんが通っていた幼稚園の前を通りすぎて、メンバーは美香さんと
ともに歩きます。
そして、坂を下って、愛梨ちゃんが最期を迎えた場所へと到達しました。
ここでの美香さんの語り、メンバーの胸にはどう響いたのでしょうか。
慰霊碑の前で語る美香さん。優しい表情をメンバーに向けてくれました。
碑の表の面には、津波で亡くなった幼稚園の子どもたちの名前に使われている漢字が、一字ずつ刻まれています。そして背面には名前が…。愛梨ちゃんの名前もありました。
美香さんの話を聴くメンバーの表情、慰霊碑を見つめるまなざしが、強く印象に残りました。
プログラムが終わると、美香さんとはお別れです。
お花にメッセージを添えて、お渡ししました。愛梨ちゃんの好きだった、水色の花です。昨年度から
オンラインで接していただき、今回「やっとお会いできた」美香さんでしたが、そのせいもあってか、時間があっという間に過ぎてしまったように感じられました。今度はぜひ、もっとゆっくり時間をとって、美香さんとメンバーが話す機会を作りたいですね。
車の中から手を振ってくれました(^^)/~~~
美香さんを見送った後、メンバーは石巻復興祈念公園内にある、フランス菊「あいりちゃん」の花壇の手入れを行いました。
「アイリンブループロジェクト」の菅原淳一さんが、美香さんたちとともに大切に育てている「あいりちゃん」の花壇です。
「花を育てる」ことを通して、いのちのかけがえのなさに気づいてほしいという「アイリンブループロジェクト」のメッセージを感じながら、メンバーは楽しく作業をしました。
その模様は次回の投稿でご紹介いたします。