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佐野日本大学中等教育学校

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【3.11教育旅行】2023ツアー 第4日目(その2)

8月13日、「3.11を語り継ぐ旅」2023ツアーの最終日。

朝、旅館で七ヶ浜「お茶っこの会」の皆さんと、来年の再会を約してお別れしてきたメンバーは、その後バスで仙台市にある震災遺構「荒浜小学校」に向かいました。

3.11当時、校舎の2階まで津波が押し寄せ、学校に避難していた方々は全員救助されたものの、周辺地区で多くの方々が犠牲になりました。

メンバーはガイドの方のお話しに耳を傾けます。

 

説明が終わると、校舎を見上げつつ入口へとまわり、校舎内の見学に向かいます。

校舎内2階には、津波で浸水した痕跡が、震災当時のまま保存されていました。

メンバーは教室内の光景に目を見張りながら、見学を進めていきます。

海水によってさび付いた流しや、時が停まった時計・・・。

こうしたものを目の当たりにすると、東日本大震災が人々にもたらした衝撃のすさまじさが直に伝わってきます。そして、いま叫ばれる「次なる大地震への備え」。

12年が経過しても、「3.11は終わっていない」と実感させられた瞬間でした。

 

屋上に出ました。画面奥に海が見えます。

あんなに遠くに見える海が、高さを増してここまで来たなんて・・・と驚いたメンバー。

地図で見ると海は至近距離にあるのですが、自分の眼で実際に捉えた海は、「まさかあそこからここまで波はこないだろう」と思ってしまうほど、離れていたのでした。自然災害は人間の想定を超えるほどすさまじく、だからこそ普段から備えておかなければならないと実感させられました。

 

校舎を出て、裏手を回りました。鉄の扉や窓が壊れたままの状態で保存されていて、波の力のすさまじさを物語っています。

 

荒浜小学校を後にしたメンバーは、昼食をとるため、名取市にある「かわまちてらす閖上」にやってきました。ここは、名取川のほとりに立地していて、飲食店などが多く入っている施設です。

メンバーは自由行動をとって、昼食とショッピングを楽しんだのでした。

 

さて、いよいよ今回のツアーで最後のプログラムを実施する時がきました。

「閖上の記憶」。

名取市の旧閖上中学校の入口に建てられた津波復興祈念資料館です。

3.11の記憶をつなぎ、「いのちの大切さ」を訴えるべく、特に若い人たちの震災学習に力を入れて活動していらっしゃいます。

語り部の丹野祐子さん。3.11の大津波で息子の公太さん(当時13歳)を亡くされた体験をもとに、「命の大切さ」をメンバーに語ってくださいました。

 

館内の照明が消え、スライドの映写が始まります。震災直後の閖上の街の様子など、緊迫した映像にメンバーの表情が引き締まっていきました。

丹野さんは、子を想う親の心についても話してくださいました。このお話しに心打たれたメンバーも多く、それは自らの「思い」となっていきます。

スライドには、丹野さんのメッセージや、公太さんのために買い続けている漫画が本棚に並んでいる様子などが映し出されました。メンバーは静かにそれを凝視します。

 

 

丹野さんのお話しを聴いた後、別れ際にメンバーは自らの「思い」をことばにして伝えました。

一人ひとりと向き合い、丹野さんは丁寧にことばをかけてくださいました。

 

 

屋外に出ると、真夏の日差しが照り付けていました。

まぶしさと熱気のなか、丹野さんたちはバスまで見送りに来てくださいました。

丹野さんたちに手を振って、メンバーは閖上を離れます。

これで、今回のツアーのプログラムはすべて終了しました。

バスは一路、栃木を目指します。

 

 

3泊4日の行程の中で、メンバーの心には何が刻まれたのでしょうか。

それは、今後の活動で明らかになっていくと思います。

発災当時のお話しをしてくださった三陸鉄道のスタッフの方、遠藤伸一さん、丹野祐子さん。

そして、12年経った「いま」、私たちと交流してくださる七ヶ浜「お茶っこの会」の皆さん、女川「みなとまちセラミカ工房」の阿部鳴美さん、「ホテルエルファロ」の佐々木里子さん。

みなさん本当に、ありがとうございました。

 

「あの日」の東北を知り、「いま」の東北に寄り添う。

この2大テーマを掲げ、「3.11を語り継ぐ旅」は続きます。