【校長室だより】
本校では3月1日に卒業式を無事終えることができました。ただ3月半ばくらいまでは入試あり、発表待ちありで、なかなか落ち着かないこともありますが、とにかく一区切りついた感じです。卒業生の皆さんの、これからの活躍を祈るばかりです。
ところで皆さんの家にはロボットがいますか。そう尋ねるとほとんどの人が「ウチにはいません」と答えるでしょう。では自動で床を掃除してくれる機械はどうですか? 電子レンジは「調理が終了しました」と音声で教えてくれませんか? お風呂はどうですか? 洗濯機は? クルマのナビゲーションは? そしてスマホは? ハイテクを使った装置は、すでに私たちの生活に入り込んでおり、それなくしては生活が成り立たなくなっていますね。
ロシアによるウクライナ侵攻から一年が経過しましたが、生身の兵士による戦いと並行して無人兵器ドローンが使われています。ドローン兵器の恐ろしいところは学習する点です。ウクライナの戦場が「実験場」となって学習することで、飛躍的に技術が進展しているのだそうです。人間の兵士が消耗していけば、ドローン兵器はますます使用される可能性があると指摘されています。
ウクライナ侵攻を別の角度から捉えた報道もあります。ウクライナのバイオリン奏者、アレクセイ・セメネンコさんとロシアのピアニスト、アンドレイ・ググニンさんが共演するコンサートが、ここ日本で行われたそうです。2月に4回行われ、ググニンさんは「悲劇的な状況下でも、聞き手の心に一筋の希望を刻めたらうれしい」と述べ、共に今の状況に一灯を灯す演奏をしました。
一つの物事でも、人によってとらえ方も対応の仕方も異なります。戦争は憎しみの連鎖を生みますが、それを終わらせるために兵器を開発し使用するという対応をするのか、文化・芸術を通じて融和をはかるのかは、同じ目的のためとはいえ、まったく違うものです。
私は、卒業していった6年生諸君が、できるなら「優しさに裏打ちされた強さ」を持った人物になっていってほしいと願っています。
これからの若者は、ハイテクやAI技術と共に生きていきます。使い方を誤れば全人類に甚大な被害をもたらす可能性の高い技術は、「優しさ」や「正しさ」というベースのある人間が使用しなければ、本当にとんでもないことになると、今まさに目前で行われている戦争が教えてくれています。
(次回3月15日更新予定)