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佐野日本大学中等教育学校

校長室だより

【校長室だより】

 学校では、6月から「体験学習」を中心とした研修旅行がスタートしました。もちろん、日々の学校生活ひとつひとつが体験の積み重ねではありますが、学校の外に出ていろいろな人たちと出会ったり、今まで知らなかったことや見たことのなかったものを直接見たり体感することは、物事に対する見方や考え方を大いに広げることになります。この「体験学習」は、生徒の成長にとって大切な機会であると考えています。そこで本校では各学年、それぞれの学年に応じた「体験学習」を設定しています。

 今年度まず皮切りに2年生の国内研修旅行が、去る6月14日(水)~16日(金)の2泊3日で新潟県上越市にて行われました。コロナ禍を超え、ようやく学校らしさが戻ったなと強く実感できる3日間となりました。この行事は本校創設以来実施されているもので、農村コース班と漁村コース班に分かれ、それぞれのアクティビティに臨むものです。農村では田植えやアケビの蔓を使った工芸品作成など、そして漁村では実際に魚をさばいて粗汁を作って食べたり、漁船に乗ったりと、内容は地元の方たちとの触れ合いを伴う中身の濃いものです。

 私も現地へ行って両方のコースを見て回りました。学校を離れ、でも学校で学んだことを生かしつつ、生徒たちは生き生きと活動していました。何人かの生徒に感想を聞いてみると、まず誰もが「すごく楽しい」と言っていました。それから「初めてカエルを触りました」、「はじめは泥の中に入っていくのは嫌だったけれども泥の中に入ったら楽しかった」、「田植えを初めてやって難しかったけれども面白かった」、「初めて日本海を見て海がきれいでした」、「初めて魚をさばきました。結構大変でした」、「魚が新鮮で美味しかった」等々貴重な体験をしたようです。漁村班は、強風など天候に恵まれず、活動内容を変更せざるを得ない場面もありましたが、それでも生徒たちは臨機応変に目の前の活動に取り組んでいました。

 生きていれば、思い通りにいかないことにもたびたび出会いますね。座学で学んだことがそのまま使えない場面も発生します。その場に応じて学んだことを生かしたり、未知のことには仲間に協力を要請したり、他者に教えを請うたりと、「知恵を生かして使う」ことの重要性を学ぶ体験学習は、子どもたちにとってまさにかけがえのない貴重な学びの場となるはずです。

 さて、あと17日後に夏休みが始まりますね。各種セミナーも行われ、学年に応じた勉強の機会も設けられます。特に6年生はいよいよ自分の進路に関わる大切な夏休みとなります。文字通り、「夏を制する者は受験を制する」です。一心不乱に勉強してほしい。そして来年の3月2日には晴れやかな笑顔で卒業の日を迎えてほしい。さらに1~5年生もそんな6年生に続くべく、各自の目標に応じた努力をしてほしいと思います。休みに入る前のこの期間はそのための助走期間です。32日間の休みを有意義に使って、「意味のある夏休み」にしていきましょう。 (次回7月19日更新予定)

【校長室だより】

 今日は二十四節気のひとつで、「夏至」ですね。この日太陽黄経は90度にあり、北半球では、太陽はいわゆる夏至点にあって、最も高く輝きます。1年中で最も昼が長く、夜は短い時です。もちろん南半球では全く逆の世界があるわけですが、今朝の東京の日の出は午前4時25分で、日の入りは午後7時ということです。ただ、日本では「夏至」の時期がちょうど梅雨に当たります。どんよりとした梅雨空の中では「夏至」をなかなか実感しにくいところですが、今日の北関東は梅雨の晴れ間が広がり、「夏至」を十分に感じることができます。この日から全国各地で夏祭りが始まります。田植えが終わった時期で、豊作への祈りが込められているわけですね。「夏至」の日、太陽によって人間の営みがあることに思いを致すことも大切なことと感じる次第です。

 学校ではいよいよ今週末、6月24日(土)に文化祭である顕桜祭(けんおうさい)が開催されます。佐野日本大学高校と佐野日本大学中等教育学校が合同で行う数少ない行事になります。今、校内では本番に向け準備する生徒の熱気とワクワクする気持ちが伝わってきます。保護者のみなさまにおかれましては、ぜひご都合をつけていただきご来校ください。一般の方のご来場も大歓迎です。生徒たちも喜ぶでしょうし励みになることと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(次回7月5日更新予定)

【校長室だより】

 今日(8日)梅雨に入ったようです。梅雨と言えば紫陽花(あじさい)。雨に映える繊細な色合いの美しさは、この時期にとても似合っていると感じます。紫陽花の花言葉には、移り気、寛容、七変化、無常などがあるそうです。花の色やそのたたずまいからこのような花言葉になったようですが、実に趣深いですね。また、学校近辺の水田地帯ではカエルが賑やかに鳴いています。これも梅雨から夏にかけての風物詩です。

 ところでその紫陽花の花言葉の中の「無常」ですが、一言で言えば「物事は常に変化し、一定不変であるものはない」という概念です。生徒の皆さんは古文で学習すると思います。日本には四季があり、春夏秋冬様々に移り変わる風物があり、常に自然界が変化する国です。また地理的には森林が多く、昔から樹木を用いた建物や製品が多く、素材の性質上長い期間には腐食などで形がなくなってしまいます。石の文化を持つ西洋とは、文化やメンタリティーが大きく異なる点ですね。

 これらの自然の性質に加え、武士の時代には様々な勢力が興っては消えていきました。平家物語にも「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす。おごれる人もひさしからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もつひには滅びぬ。ひとへに風の前の塵に同じ。」とあります。永久不変であるものはなく、物事は常に移り変わるのであれば、物事は良くもなるし悪くもなる。

 無常であることは、物理的に真実であります。永久に変わることのないものは、地球上には一切ありません。そこから何を考えるか…。「今がこうだから未来もこうだ」と、思ってはならないのではないか。「今はこうだけど、10年後こうなりたい。だから今できる努力をする。」そんな生き方ができるといいですね。                          (次回6月21日更新予定)